1:まとめらいぶ:2016/08/02(火) 14:30:11.18ID:CAP_USER.net
【日経 ビジネス】
「体験するのは初めて?すぐ慣れるから運転してみてよ」
7月27日、独フランクフルト。自動車部品世界大手のコンチネンタル本社で、
1台の試作車に乗る機会を得た。下の写真が、その試作車だ。よく見ると、外見
から何の試作車なのか判断できるのだが、お分かりだろうか。自動車部品大手
の独コンチネンタルが開発した試作車。メルセデス・ベンツのEクラスを改造したもの
答えは「鏡がない」こと。サイドミラーとバックミラーが付いていない。後方を確認
するための鏡をカメラで置き換えたもので、一般的に「ミラーレス車」と呼ばれる。
ミラー代わりのカメラを「電子ミラー」と呼ぶこともある。
ミラーに関する国際基準が改定され、カメラの使用が可能になった。これを受けて
日本でも、国土交通省が6月18日に道路運送車両の保安基準を改定。自動車メーカー
はミラーレス車を開発することが可能になった。
新型車であれば、2019年6月18日以降に発売できる。
この改定によってミラーレス車ににわかに注目が集まっている。
では、ミラーレス車のメリットとは何か。
一つ目は、死角がなくなることだ。運転経験があるなら、レーンチェンジや
左折右折の時、死角にクルマや歩行者が入ってひやっとしたことがあるだろう。
コンチネンタルの試作車では、これまでサイドミラーが付いていた位置に、
左右2つずつ計4つのカメラを設置。後部のアンテナフィンに内蔵されたカメラを
含めると、5つの後方確認用カメラが付いている。これで死角をなくす。
モニターは車内に3つある。両サイドと、通常カーナビが入る位置だ。試作車のため、
暫定的に3つ付いているが、コンチネンタルの開発担当者は、「ドライバーの視野に
常に入るセンターモニターと左側のモニター(ドイツは左ハンドルのため。
日本では右側)の2つのモニターで見る形式になっていくのではないか」と話す。
モニターはTFT液晶のタイプだったが、コンチネンタルは既に車載用有機EL
モニターも開発済み。「どんな形状にも変えられる有機ELはデザイン面
でも魅力的だ」(開発担当者)。
同社は有機ELモニターを2018年にも量産する見込みで、ミラーレス車が
市販されるころには、有機ELで後方を確認することになるだろう。
システムによってモニターの明暗を最適化し、太陽や後方
車両のハイビームのまぶしさをコントロールすることもできる。
ミラーがなくなることで、空気抵抗を小さくすることができるのもメリットだ。同社
シャシー&セーフティー部門先進技術部の責任者を務めるアルフレッド・エッカート氏は、
「燃料消費量が減ることに加えて、高速走行時の風切り音も小さくなる」と話す。
ここまでは、試乗しなくても理解できること。これらのメリットに加えて、
記者は実際に試乗してみて、もう一つのすごさを体感し
「まずは乗ってみてよ」
「体験するのは初めて?すぐ慣れるから運転してみてよ」
7月27日、独フランクフルト。自動車部品世界大手のコンチネンタル本社で、
1台の試作車に乗る機会を得た。下の写真が、その試作車だ。よく見ると、外見
から何の試作車なのか判断できるのだが、お分かりだろうか。自動車部品大手
の独コンチネンタルが開発した試作車。メルセデス・ベンツのEクラスを改造したもの
答えは「鏡がない」こと。サイドミラーとバックミラーが付いていない。後方を確認
するための鏡をカメラで置き換えたもので、一般的に「ミラーレス車」と呼ばれる。
ミラー代わりのカメラを「電子ミラー」と呼ぶこともある。
ミラーに関する国際基準が改定され、カメラの使用が可能になった。これを受けて
日本でも、国土交通省が6月18日に道路運送車両の保安基準を改定。自動車メーカー
はミラーレス車を開発することが可能になった。
新型車であれば、2019年6月18日以降に発売できる。
この改定によってミラーレス車ににわかに注目が集まっている。
では、ミラーレス車のメリットとは何か。
一つ目は、死角がなくなることだ。運転経験があるなら、レーンチェンジや
左折右折の時、死角にクルマや歩行者が入ってひやっとしたことがあるだろう。
コンチネンタルの試作車では、これまでサイドミラーが付いていた位置に、
左右2つずつ計4つのカメラを設置。後部のアンテナフィンに内蔵されたカメラを
含めると、5つの後方確認用カメラが付いている。これで死角をなくす。
モニターは車内に3つある。両サイドと、通常カーナビが入る位置だ。試作車のため、
暫定的に3つ付いているが、コンチネンタルの開発担当者は、「ドライバーの視野に
常に入るセンターモニターと左側のモニター(ドイツは左ハンドルのため。
日本では右側)の2つのモニターで見る形式になっていくのではないか」と話す。
モニターはTFT液晶のタイプだったが、コンチネンタルは既に車載用有機EL
モニターも開発済み。「どんな形状にも変えられる有機ELはデザイン面
でも魅力的だ」(開発担当者)。
同社は有機ELモニターを2018年にも量産する見込みで、ミラーレス車が
市販されるころには、有機ELで後方を確認することになるだろう。
システムによってモニターの明暗を最適化し、太陽や後方
車両のハイビームのまぶしさをコントロールすることもできる。
ミラーがなくなることで、空気抵抗を小さくすることができるのもメリットだ。同社
シャシー&セーフティー部門先進技術部の責任者を務めるアルフレッド・エッカート氏は、
「燃料消費量が減ることに加えて、高速走行時の風切り音も小さくなる」と話す。
ここまでは、試乗しなくても理解できること。これらのメリットに加えて、
記者は実際に試乗してみて、もう一つのすごさを体感し
「まずは乗ってみてよ」
2:まとめらいぶ:2016/08/02(火) 14:30:18.00ID:CAP_USER.net
開発担当者にそう言われて、早速、左ハンドルのドライバー席に座った。
一通りの説明を受けた後で、実際にフランクフルト市内を走ってみた
(ドイツはジュネーブ条約加盟国ではないが、日本で発行する
「国外運転免許証」を携帯すれば公道を運転することができる)。
運転を始めると、すぐに“通常ならミラーがある位置”を見てしまったが、
ものの数分で慣れた。少し慣れるのに時間が掛かったのは、後続車両との
距離感だ。ミラーならどのくらい離れているのか、経験で分かるが、画像
なのでなかなか感覚がつかめなかった。記者の場合、10分ほど
運転してようやく慣れてきた。
試作車のモニターには、後方車両をカメラが認識し、距離によって緑色、
赤色の二色で示される。緑色は距離が確保できているため、レーンチェンジ
などで問題にならないクルマ。赤色は距離が近いため注意が必要なクルマ。
また、それぞれのクルマまでの距離が数字で10m、20mといったように表示
される(現状では乗用車のみ。トラックは表示されない)。
運転して初めて分かったのは、「クルマが見ているもの」を
ドライバーも同時に見ていることの重要性だった。
後続車両との距離感が分かるのは運転するうえでも役立つが、赤や緑で
クルマが見ているものが表示されることで、「このクルマは全ての車両を認識
してくれているんだな」という安心感につながる。これが、記者が試乗して
最も感心したポイントだった。
「ヒトと機械の協調」。これからの自動車にとって、重要性が増すキーワードだ。
なぜなら、完全自動運転が実現するまでのプロセスでは、機械が運転する場合と
ヒトが運転する場合が併存し、その切り替えが必ず必要になるからだ。
その上で、ドライバーに必要なのは、「今、この機械=クルマは何をどこまで
認識しているのか」という情報だ。機械が何を見ているのかをヒトが知ることで
初めて、安心して機械に任せることができるし、いざとなった時に
運転を代わることもできる。
モニターで後方を見るミラーレス車は、機械とともに
運転する「慣れ」をドライバーに与えてくれるのではないか。
実際、コンチネンタルなどの大手部品メーカーや多くの自動車メーカーは、
ADAS(先進運転支援システム)や自動運転を実現するにあたって、
HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を重視している。
HMIとは、ヒトとクルマが接する部分の全てを指す言葉で、
現在、メーカーにとって重要な開発分野となっている。
コンチネンタルは、ミラーレスを単なるカメラへの置き換えとは捉えていない。
「視認性を改善するだけでなく、状況に応じた指示をモニターに表示する可能性を
開くものだ」。同社インテリア部門で研究開発を担当するオトマー・シュライナー氏は
こう言う。
カメラによるミラーレス化は、運転支援機能と相性が良い。同社はミラーレスと、
車線変更時のアシスト機能や進入車両のアラート機能などを融合する方針だ。
現在、世界中の自動車メーカーから問い合わせがある。
「自動運転」という言葉が先行しているが、機械が完全に運転に責任を
取れるようになる時代はまだまだ先だヒトと機械が情報を共有し、安全性を
担保しなければならない期間は長い。どうすれば機械のことを知ることができるか。
あるいはどうやってヒトのことを機械に知ってもらうか。
いずれも今後のクルマにとって極めて重要な機能になるはずだ。
一通りの説明を受けた後で、実際にフランクフルト市内を走ってみた
(ドイツはジュネーブ条約加盟国ではないが、日本で発行する
「国外運転免許証」を携帯すれば公道を運転することができる)。
運転を始めると、すぐに“通常ならミラーがある位置”を見てしまったが、
ものの数分で慣れた。少し慣れるのに時間が掛かったのは、後続車両との
距離感だ。ミラーならどのくらい離れているのか、経験で分かるが、画像
なのでなかなか感覚がつかめなかった。記者の場合、10分ほど
運転してようやく慣れてきた。
試作車のモニターには、後方車両をカメラが認識し、距離によって緑色、
赤色の二色で示される。緑色は距離が確保できているため、レーンチェンジ
などで問題にならないクルマ。赤色は距離が近いため注意が必要なクルマ。
また、それぞれのクルマまでの距離が数字で10m、20mといったように表示
される(現状では乗用車のみ。トラックは表示されない)。
運転して初めて分かったのは、「クルマが見ているもの」を
ドライバーも同時に見ていることの重要性だった。
後続車両との距離感が分かるのは運転するうえでも役立つが、赤や緑で
クルマが見ているものが表示されることで、「このクルマは全ての車両を認識
してくれているんだな」という安心感につながる。これが、記者が試乗して
最も感心したポイントだった。
「ヒトと機械の協調」。これからの自動車にとって、重要性が増すキーワードだ。
なぜなら、完全自動運転が実現するまでのプロセスでは、機械が運転する場合と
ヒトが運転する場合が併存し、その切り替えが必ず必要になるからだ。
その上で、ドライバーに必要なのは、「今、この機械=クルマは何をどこまで
認識しているのか」という情報だ。機械が何を見ているのかをヒトが知ることで
初めて、安心して機械に任せることができるし、いざとなった時に
運転を代わることもできる。
モニターで後方を見るミラーレス車は、機械とともに
運転する「慣れ」をドライバーに与えてくれるのではないか。
実際、コンチネンタルなどの大手部品メーカーや多くの自動車メーカーは、
ADAS(先進運転支援システム)や自動運転を実現するにあたって、
HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を重視している。
HMIとは、ヒトとクルマが接する部分の全てを指す言葉で、
現在、メーカーにとって重要な開発分野となっている。
コンチネンタルは、ミラーレスを単なるカメラへの置き換えとは捉えていない。
「視認性を改善するだけでなく、状況に応じた指示をモニターに表示する可能性を
開くものだ」。同社インテリア部門で研究開発を担当するオトマー・シュライナー氏は
こう言う。
カメラによるミラーレス化は、運転支援機能と相性が良い。同社はミラーレスと、
車線変更時のアシスト機能や進入車両のアラート機能などを融合する方針だ。
現在、世界中の自動車メーカーから問い合わせがある。
「自動運転」という言葉が先行しているが、機械が完全に運転に責任を
取れるようになる時代はまだまだ先だヒトと機械が情報を共有し、安全性を
担保しなければならない期間は長い。どうすれば機械のことを知ることができるか。
あるいはどうやってヒトのことを機械に知ってもらうか。
いずれも今後のクルマにとって極めて重要な機能になるはずだ。