1まとめらいぶ2017/12/14(木) 17:03:30.22ID:CAP_USER.net
現金主義者は社会の生産性を落とす

ロイヤルホストはなぜ現金お断り店を作ったのか。まずはそこから考えたい。

飲食ビジネスで最も重要なポイントが「人件費の調整」であることは論を俟たない。
人件費をいかに削減するかは、健全経営を目指すうえでの至上命題だ。ロイヤルホス
トの狙いは、まさにそこにある。客の利便性向上が狙いではなく、わずらわしく人手
がかかる現金の管理をなくし、注文もタブレットにすることで作業効率を上げ、人件
費を抑えることが、「現金お断り」の目的だ。

今後、飲食店ビジネスでは、提供するべき価値の「切り分け」が進んでいくと考えら
れている。大まかには、食事を提供する機能と、②顧客が滞在する場を提供する機
能、そして③コミュニケーションの場としての機能、だ。

簡潔に説明すると、食事を提供する場とは、とにかく食べるための空間にするとい
うこと。吉野家の牛丼のような、早い、安い、美味い、を追求した形態だ。

続いて②滞在の場は、デートや接待で使ってもらうための空間を目指す形態。そして、
③コミュニケーションの場は、その店に集まる人たちや店主との関係性を楽しむこと
に、対価を支払ってもらう、という形である。

このように、従来の「幕の内弁当的」な飲食店の形態から、顧客がそれぞれの機能を、
その時の気持ちで選んでいく時代に突入していく。そのなかでチェーン店が生き残る
ためには、(店長や常連客とのコミュニケーションの場としては機能するはずがない
ので)食事提供機能を充実し、一部、滞在の場として利用してもらうことを追求する
しか生き残る道はないのだ。

そのために重要なのは、必要とされる機能を研ぎ澄ますことだ。ロイヤルホストは、
現在、ほかのチェーン店と比べればメニューの単価が高い。人手不足が叫ばれる中、
さらに人件費が高騰すれば、当然、値段を上げなければ人件費を吸収できなくなる。
しかし、これ以上値段が上がれば、顧客離れが起きるだろう。

ロイヤルホストは、「安くて美味しいもの」を提供すべく、そして人件費コストを下
げるために、「現金お断り店」を試験的に導入したのだろう。これは、企業の生存戦
略としては正しい選択だ。それに対して現金主義者が「我々を見捨てるのか!」と声
高に叫べば、ロイヤルホストは委縮して、新たな時代に対応するための選択を採れな
くなってしまう。

いち優良企業の成長と、新たな経営モデルが阻害されることは、社会全体の損失とい
ってもいいだろう。これが、「社会悪」の一つ目の理由だ。

【現代ビジネス】
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53734
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