1:まとめらいぶ:2015/06/01(月) 07:54:54.44ID:???.net
太陽の300兆倍、宇宙一明るい銀河を発見
【ナショナルジオグラフィック日本版サイト】
新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0のイラスト。
太陽の300兆倍以上という、宇宙一の明るさを誇る。
(Illustration by NASA)
1000億個、あるいはそれ以上の銀河がひしめく宇宙で、
最大の輝きを放つ銀河が見つかった。
新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0の明るさは、
太陽の300兆倍を超える。米NASAジェット推進研究所(JPL)の
天文学者ピーター・アイゼンハルト氏らの研究チームが、専門誌
「アストロフィジカル・ジャーナル」6月号に発表した。
地球からはるか遠く離れたこの銀河の輝きは、
恒星によるものというよりも、むしろ「怪物級のクエーサー」から
出ているとアイゼンハルト氏は話す。
クエーサーは、銀河の中心にある巨大なブラックホール。ガスを
大量に吸収し続けているため、周囲のちりが加熱されて数百万度
もの高温になる。そうして放出された赤外線は、宇宙のはるか
遠くからでも観測できるのだ。研究チームによると、今回の
銀河には太陽の100億倍の質量を持つクエーサーがあるという。
10億年で超巨大化
この巨大クエーサーが放つ光は、約125億年かけて地球に
届いている。つまり、ビッグバンからわずか10億年余り経った
ころの光だ。ブラックホールが短期間でどのようにしてここ
まで大きくなれるのかは、いまだ未解明の大きな謎である。
しかも、こうした怪物級のブラックホールが見つかったのはこれが
初めてではない。2015年2月にも、さらに大きく古い
ブラックホールの発見が報告されている。
(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」)
「ブラックホールがなぜこんなに早く巨大化したかについては、
研究が始まったばかり。そこに一つ実例が増えたといえます」
とアイゼンハルト氏。
2月に見つかったクエーサーは、地上にある
世界最大級の望遠鏡をいくつも駆使して発見された。一方、
今回のWISE J224607.57-052635.0を見つけるのに使われたのは、
NASAの広域赤外線探査衛星WISEだった。この銀河は
エネルギーの大半を赤外線として放出しているからだ。
今回の論文の筆頭著者であるJPLのツァイ・チャオウェイ氏は、
「このクエーサーはちりの雲に隠れています」と話す。クエーサーからの
光がちりにぶつかると、ちりから赤外線が放出される。ツァイ氏らの
チームは、WISEが検出した赤外線の量に基づいて、
クエーサーの大きさと明るさを算出した。
謎が謎を呼ぶ
ブラックホールが短期間で桁外れの大きさへと成長できた
仕組みについて、天文学者らはいくつかの説明を試みている。
一つは、このブラックホールが「エディントン限界」という考えうる
最速のペースでガスを飲み込み続けたかもしれないということ。
ただし、その可能性は薄く、限界を超える
方法があるのかもしれないという。
もう一つは、このブラックホールは誕生したときから巨大で、
それが成長したのかもしれないという考え方。アイゼンハルト氏は、
「ゾウを育てたければ、子ゾウから育てるのが最短の道です」と
たとえる。とはいえ、「子ゾウ」サイズのブラックホールが
どのように誕生したのかは謎が残る。
「不可解な点はもう一つあります」と指摘するのは、ハーバード大学の
天体物理学者で今回の研究には関わっていないアビ・ローブ氏。
「初期宇宙で最大規模のブラックホールと、私たちが現在観測して
いる最大規模のブラックホールは、質量が同程度なのです」。つまり、
短期間で巨大化した謎だけでなく、それ以上大きくならなかったのは
なぜかということもまた、解明すべき疑問なのだ。
「こうした謎について、今はまだ手がかりすらありません」と
ローブ氏は語った。
文=Michael D. Lemonick/訳=高野夏美
【ナショナルジオグラフィック日本版サイト】
新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0のイラスト。
太陽の300兆倍以上という、宇宙一の明るさを誇る。
(Illustration by NASA)
1000億個、あるいはそれ以上の銀河がひしめく宇宙で、
最大の輝きを放つ銀河が見つかった。
新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0の明るさは、
太陽の300兆倍を超える。米NASAジェット推進研究所(JPL)の
天文学者ピーター・アイゼンハルト氏らの研究チームが、専門誌
「アストロフィジカル・ジャーナル」6月号に発表した。
地球からはるか遠く離れたこの銀河の輝きは、
恒星によるものというよりも、むしろ「怪物級のクエーサー」から
出ているとアイゼンハルト氏は話す。
クエーサーは、銀河の中心にある巨大なブラックホール。ガスを
大量に吸収し続けているため、周囲のちりが加熱されて数百万度
もの高温になる。そうして放出された赤外線は、宇宙のはるか
遠くからでも観測できるのだ。研究チームによると、今回の
銀河には太陽の100億倍の質量を持つクエーサーがあるという。
10億年で超巨大化
この巨大クエーサーが放つ光は、約125億年かけて地球に
届いている。つまり、ビッグバンからわずか10億年余り経った
ころの光だ。ブラックホールが短期間でどのようにしてここ
まで大きくなれるのかは、いまだ未解明の大きな謎である。
しかも、こうした怪物級のブラックホールが見つかったのはこれが
初めてではない。2015年2月にも、さらに大きく古い
ブラックホールの発見が報告されている。
(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」)
「ブラックホールがなぜこんなに早く巨大化したかについては、
研究が始まったばかり。そこに一つ実例が増えたといえます」
とアイゼンハルト氏。
2月に見つかったクエーサーは、地上にある
世界最大級の望遠鏡をいくつも駆使して発見された。一方、
今回のWISE J224607.57-052635.0を見つけるのに使われたのは、
NASAの広域赤外線探査衛星WISEだった。この銀河は
エネルギーの大半を赤外線として放出しているからだ。
今回の論文の筆頭著者であるJPLのツァイ・チャオウェイ氏は、
「このクエーサーはちりの雲に隠れています」と話す。クエーサーからの
光がちりにぶつかると、ちりから赤外線が放出される。ツァイ氏らの
チームは、WISEが検出した赤外線の量に基づいて、
クエーサーの大きさと明るさを算出した。
謎が謎を呼ぶ
ブラックホールが短期間で桁外れの大きさへと成長できた
仕組みについて、天文学者らはいくつかの説明を試みている。
一つは、このブラックホールが「エディントン限界」という考えうる
最速のペースでガスを飲み込み続けたかもしれないということ。
ただし、その可能性は薄く、限界を超える
方法があるのかもしれないという。
もう一つは、このブラックホールは誕生したときから巨大で、
それが成長したのかもしれないという考え方。アイゼンハルト氏は、
「ゾウを育てたければ、子ゾウから育てるのが最短の道です」と
たとえる。とはいえ、「子ゾウ」サイズのブラックホールが
どのように誕生したのかは謎が残る。
「不可解な点はもう一つあります」と指摘するのは、ハーバード大学の
天体物理学者で今回の研究には関わっていないアビ・ローブ氏。
「初期宇宙で最大規模のブラックホールと、私たちが現在観測して
いる最大規模のブラックホールは、質量が同程度なのです」。つまり、
短期間で巨大化した謎だけでなく、それ以上大きくならなかったのは
なぜかということもまた、解明すべき疑問なのだ。
「こうした謎について、今はまだ手がかりすらありません」と
ローブ氏は語った。
文=Michael D. Lemonick/訳=高野夏美